北原大使挨拶

 

北原大使離任レセプション

<平成23年9月16日 於:大使公邸>

 

 

●離任レセプションの開催

 

北原大使スピーチ(9月16日離任レセプション)

(English ver.)

(Tetun ver.)

 

 本日は、私の離任レセプションにご出席いただきありがとうございます。2008年9月10日に着任し、3年間があっという間に過ぎました。

 この間、ここにおられる皆様はじめ多くの皆さんに支えられてきました。妻芳子ともども本当に楽しくワクワクしながらの毎日でした。私達は、東ティモール、そして東ティモールの人々が大好きになりました。このことは、私達の人生における最大の喜びであり、かつ幸せです。

 

 皆さんは、団結して、成功しないだろうと言われた困難な環境の中で独立を成し遂げられました。その皆さんは、今、より良い東ティモールと全ての東ティモール国民にとってより明るい未来を築くために、7月12日にグスマン首相より発表された戦略開発計画(SDP)に基づき、再び団結し、断固として夢の実現に取り組んでいます。グスマン首相は自ら65準県全てを巡り、国造りの夢を語り、団結を訴え、自ら行動する意識改革に懸命に努められました。グスマン首相は住民の質問に対して一つ一つ誠実に対応し、質問が出尽くすまで応答し、気がつくと、あっという間に11時間程が経過していました。

 

 国の発展と繁栄の最大の牽引力は人材です。東ティモールの皆さん自身です。このための教育の充実、人材育成については、東ティモール政府が国造りにとって焦眉の重要課題としてその強化に懸命に努めているところです。日本は東ティモールが計画の主体であり、東ティモールが主体的に実施するSDPに基づいた東ティモールの国造りを全面的に支援していくことを改めて表明いたします。

 

 私は、妻共々、東ティモールの主要な道路を走り尽くすほど地方に赴きました。各地では様々な発見や出会いの連続でした。東ティモールは、どの地方へ行きましても、素晴らしい自然があり、文化があり、そして温かい人々、好奇心に輝く瞳の次代を担う子ども達がいます。

 

 東ティモールの温かい人々について、ここで皆さんに是非紹介したいエピソードがあります。ある村の橋を渡ろうとした際、強い雨のためにその橋が落ちてしまい、車が進めなくなり途方に暮れていました。その時、村人たちが総出で仮設橋を作って助けてくれたことがあります。村人の皆さんの協力によってそのまま旅程を進行することができました。

 先ほども述べましたが、私達は、そんな東ティモールが、東ティモールの人が大好きになりました。この大好きこそが、国民のために尽くし続けている東ティモールの皆様からのご指導、アドバイスを受けることができたことと相俟って、私の3年間を喜びに満ちた毎日としてくれました。皆様に心から感謝しています。

 

 私は、当館スタッフと一緒に「東ティモールと日本との距離を5千㎞から  50㎞にしよう」との合い言葉の下、両国間の距離を縮めるため、東ティモールの今を日本に発信し続けています。1つの例は、3年前に開設した当館のホームページです。爾来、月間アクセス数は着実に増え、本年8月には1か月間で約145,000件を記録しました。これは、日本国民の東ティモールへの関心が日に日に高まっている証左と考えていますが、まだまだこれからです。私たちは、これからも「今日の東ティモール」をどんどん発信し、相互理解を増進し、人と人との交流を増やして行く努力を続けたいと思います。

 私自身、10月1日に東ティモールの地から離れようとも、引き続き皆さんと共にありたいと思っています。私は「日本・東ティモール協会」(“Associasaun Lorosa’e-Nippon”)を立ち上げる予定です。私は東ティモールでの3年間の経験を通じて、かかる未来志向の協会をつくる必要性を実感しています。現在既にある政府間の良好な関係やJICA、NGO等の良好な関係を尊重しつつ、また、前提としつつ、いわばそうした関係を民間レベルから補完し、東ティモールと日本の友好関係発展に少しでも寄与できることができればと願っています。

 2012年は東ティモールの独立回復後10周年、そして日本を含む他の多くの国々と東ティモールとの外交関係10周年に当たります。「協会」として、10周年に積極的な役割を果たしていきたいと思っております。

 

 この2012年は、大統領選挙及び国民議会選挙が予定されている重要な年でもあります。私は、東ティモールは平和裏に、民主的に整々と選挙を実施し、その後のUNMIT撤収も整々と実施されることを確信しています。東ティモールは、平和の中で、高い国際的信用を確実にし、投資・観光客を増加させ、経済発展を軌道に乗せて行くでしょう。これが東ティモールの2012年です。

 当国が、こうした重要な年を迎える時に着任される花田吉隆新大使は、長年に亘り豊富な外交活動経験を有する優秀なキャリア外交官です。必ずや東ティモールの発展そして両国関係の更なる強化に尽力していくと確信しています。是非、よろしくお願い申し上げます。

 

 最後になりますが、3月11日の東日本大震災に際しては、沢山の子供たちを含む東ティモール国民、また、東ティモール政府から、そして国際社会から、深甚なる連帯と友情及び力強い支援を頂きました。日本人はどんなに励まされたことでしょう。私たちは決して忘れません。心からの感謝を表明します。

 

 東ティモールの皆さんの健康とお幸せ、そして東ティモールの平和と繁栄を心から祈念します。

 私は妻共々、この東ティモールで皆さんと一緒に居れたことを幸せに思います。東ティモールの皆さんが大好きです。東ティモールが大好きです。

 

 近い将来に皆様とお会いできますことを心待ちに致しております!

 今日は私たちの美しい友情の始まりです!

 

 ありがとうございました。

 

 

 在東ティモール日本国大使

 北原 巖男

(c) Embassy of Japan in Timor-Leste  Avenida de Portugal, Pantai Kelapa, Dili, Timor-Leste (P.O. Box 175) Tel: +670-3323131 Fax: +670-3323130