ゆる~り。ローカルライフ
今年の年末は、クリスマス前から、待望の“父の東ティモール初訪問”がありました。10月ごろ、まだ決まっていないけど・・・と連絡をもらった時から、きっと来ると信じ切ってさっそく何をしようかワクワクしながら考えていました。
というのも、父は自然を愛する男なので、この厳しいほどの大自然を、東ティモールでしか味わえない大自然を、是が非でも味わってもらいたかったのです。そして私自身もひそかに、本物のアウトドアを体験したかったのです。長年の戦争、ゲリラ生活などを乗り越えてきた東ティモール人は、本物です。何もなくても何でもできる。そんな彼らをカッコイイと思っている私は、いつか彼らと一緒にリアルアウトドアをしたいと思っていました。ということで、私にとっても絶好の機会が訪れたのです。
私の信じたとおり、父は東ティモールに来ることを決意してくれました!決まってからは、あれこれと行く場所を考えました。私もまだ行ったことのないCacavei村、海、キャンプといえばCom村、Tutuala村、Lore村。どこも捨てがたい・・・・!1週間の滞在ということでお泊りキャンプなら一か所に絞らなければならず、考えに考えた末にComに決定。というのも、そこの漁師さんたちなら、つてがあって船を出してもらうことが出来たから。そして、Comの仲間たちが集まってみんなで楽しいピクニックができそうだったからです。丁度クリスマス休暇に入っていたアフメットスタッフのジュベンシオさんの大きな協力を得て、待ちに待った23日がやってきました。新しくアフメットに派遣されたゆいちゃんと、ティモールについてからずっとのんびりタイムを堪能していた父と共にComにシュッパーツ!朝から車のパンクを直しに行っていたため1時間遅れて海辺に到着すると・・・・あれ??誰もいない・・・・!心当たりの所を探してみましたが、やっぱり誰もいない。むー・・・。1時間の遅刻で、怒っちゃったかな・・・?近くにいた子供たちに「ジュベンシオ見なかった?」といっても「さぁ~・・・。」と、一人の男の子が私に近づいてきました。「もしかして・・・今日一緒に行く?」「うん、ジュベンシオはガソリン買いに行った!」「よかった~!遅れたから置いてかれたかと思った!ごめんね!待った?」少したってジュベンシオさんが来ました。「ごめんね、タイヤが直るのに時間がかかって・・・」「いいよ。どうせ潮も引いちゃって船出せないし。もう少しここで遊んでよう!」仲間が来るまできれいに澄んだ海で遊び、しばらくするとブーーー!とエンジン音。「あ、来た来た!」来ました!海の向こうから船のお迎えが!
潮が満ちるのを待ち、船でピクニックへ。真っ白な砂浜を離れ、透き通るエメラルドグリーンの下に広がるサンゴ礁を過ぎ、海は段々深い青へ。ここに来てから、悲しい時も幸せな時も、このコムの海の色はいつでも私を和ませてくれました。今も、これからもずっとそうです。
サンゴ礁が広がるコムの海 船でキャンプへ出発!
キャンプ地に着いてとりあえずテントを張り、火をおこしてインスタントラーメンを作ってみんなで食べていると、海が少々荒れ気味。これじゃあ魚取れないよ・・・。今日の夜は腹ペコか~~・・・。と、猟師のほうが立ち上がり、「俺はトリを撃ちに行ってくる。」「おぉ~。じゃ、私も行く!」ジュベンシオさんと父と私も彼に付いていきました。でもどんどん歩いてあっという間に離されてしまいました。しばらくブラブラ散歩していると・・・パァァーン!!「お、撃ったかも!」彼を探してみると野鳥を一羽撃ち落ちしていました。とりあえず、おかずゲット。狩りをするところはジャングルみたい。少し歩くと暑くなってきました。狩人は置いて海辺にでよう!海辺にでると、天然クーラー。涼しい風が癒してくれました。それにしても、ジャングルの中を短パンビーサンでよく痛くないね。(とげとげの草は、私に刺さって出血するくらいでした。)「とげに気をつけてください!」「ホント、私もさっき刺さって痛かった。」「え?なんでサトコに刺さるの?」「え、とげ刺さるじゃん。」「長ズボンなら平気だよ!」「え、痛かったし!」「は?長ズボンなのに?」・・・・。長ズボンの上からとげが刺さることはないとはっきり断言されてしまいました。“とげはズボンを突き抜けて刺さる”論は却下。ちなみに私はビーサンだったので、「ビーサンは危ない。」と、彼らは必死に草を刈って道を開いてくれました・・・・。長ズボンも危ないし。(笑)
しばらくすると、海が静かになってきました。「そろそろ行こうか!」今晩のご飯を探しに、船でシュッパーツ!私も父も、新しいスタッフのゆいちゃんもみんな船に乗って魚探しに行きました。少し深くなってくるとみんな準備し始め・・・バシャン、バシャン!と海に消えて行きました。彼らは素潜りで魚を撃ちにいきます。10メートルくらいならいけるとか!鍛えられた体で広い海を力強く泳ぎます。魚を見つけるとまっすぐ下に落ちていきます。彼らは酸素ボンベも、フィンもつけていません。ゴーグル1つで水のなかを自由に動くのです。魚は大漁!さて、キャンプ地へいったん引き揚げ・・・。ゆいと私は船酔いで限界を迎えたため、いったんおろしてもらうことになったのです。
テキパキ!テント張り 漁の準備をする
キャンプ地でコーヒーをのみながら男たちが漁から帰ってくるのを待っているとしばらくして船が帰ってきました。とれた魚は20匹以上!熱帯特有の鮮やかな色の魚たち。さっそく鱗や内臓を取り除いて調理の準備。みんなでワイワイ。漁師たちの野蛮すぎる会話が飛び交う・・・、そんな空気が私はとっても好き。ガス、電気、水道生活で野性が鈍りまくっている私は、「お前はどーせ何にもできないんだろ。」と言われながら、見よう見まねで一緒に魚調理準備をしました。(ちなみに私は鱗取りが大好き。)魚を刺す串も、食べるための箸も、その場で即席で作られたもの。米を炊き、魚を茹でたり焼いたりして調理をしました。熱湯の中に魚を放りこんでいくと・・・バシャン!!「アチっ!まだ生きてたー!」それから、撃ち落とした鳥もすっかり毛をむしられて、焼き鳥に・・・・!
薄暗くなったキャンプ場で火を囲みながら炊きたてのご飯と魚のダシスープ、皿に山もりの魚を囲んで・・・「いただきまーす!!!!」シンプルだけど、私たちにとっては最高に豪華!!!ヤシ酒、ビール、日本からのお土産の日本酒と芋焼酎。「日本の酒チョーうまい!これどうやって作るの?」「芋から作るんだよ。サツマイモ。」「ロスパロスにもサツマイモ沢山あるから作れるんじゃない?」「そうだねー・・・。どうやって作るんだろ?」「酒は、注がれたら全部飲むんだよ。飲み終わってから次の人に回すんだ。」「あ、それ日本も同じ!日本はコップが立たないように底が丸くなってるものもあるんだよ。」シンプルだけど豪華な食卓は、食べ物を得た過程とみんなの楽しい会話でさらに豊かなものになりました。
色鮮やかな魚たち おしゃべりで盛り上がる夕食
夜、星をみながら海岸を散歩・・・、静かな夜の海、何年ぶりだろう?砂浜に座っておしゃべりをしていると、ゆいがゲームを始めました。砂で山を作ってみんなですこしずつ削っていき、山を崩した人が罰ゲーム!「あーーー!!崩れたぁぁぁーーー!!」「お前、歌えよ。」「えー!俺何歌うんだよ!」「何でもいいじゃん!」私もゆいも何度か罰ゲームになり、テトゥン語、インドネシア語、日本語、ファタルク語・・・さまざまな言葉の歌を歌いました。ここで唯一、ティモール人が知っている日本語の歌。それは、五輪真弓さんの「こころのとも」。愛はいつもララバーイ・・・、ティモール人たちは、「意味は分からないけれど、この音が好き。」と言います。私は1番を歌い、その詩の意味をテトゥン語に訳しました。
さて、戻って寝るか~。と、戻ると、出るときに脱いで置いておいたビーチサンダルは満ちた潮に流されて無くなっていました(笑)夜は肌寒く、残った火の近くに寄ってあたたまりながら、おやすみ~・・・。
次の朝は、朝から漁にでてコムに戻りました。この日も大漁!またまた色とりどりの芸術のような魚たちを上げながら船を進めていると大きな魚がプカァ~・・・。「オイ!止めろ!魚、魚!」「あの漁師たちのが落ちたんだ!どこ行った?」近くで漁をしていた船の魚が落ちた模様。「後ろ後ろ!よし!とったー!」落し物を必死に拾って得意顔。「お~~~い!君たちの落としたの、もらったぜー!」と、堂々と宣言。ラッキーな賞品付きの収穫は、みんな私たちにくれました。
「ありがとう!楽しかった!また行こうね~!」「オッケー!じゃ、お姉さん、俺たちは船で帰るから。」「うん!またね!」かわいくて頼りになる弟たちを見送り、近くの湖で真水を浴びました。帰りに、ジュベンシオさんが家に招待してくれ、お魚をお土産に持っていきました。カトリックが国教のこの国では、12月中ごろあたりからみんな帰省しはじめます。村にはいつも離れて暮らす家族が沢山戻ってきていて、家もにぎやかでした。
この日はクリスマスイブ。大きな喜びを控えたこの日に、神様は私に大きな大きなプレゼントをくれました。感謝し、そして、私も自分に与えられたものを人に返していけるような新しい年にしたいと思います。
獲物ゲット! いつも温かく迎えてくれるジュベさん一家
渡辺(AFMET)
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