私の見た東ティモール

俳優塩谷瞬さんとジャンプ!

 

 イダ(ida:1)、ルア(rua:2)、トル(toru:3)、ハクソイッ(haksoit:ジャンプ)!掛け声に合わせて子供たちがいっせいにジャンプする。自慢げに高くジャンプする子、いつもタイミングがずれてしまう子、恥ずかしがりながら小さくジャンプする子。ジャンプはいろいろだけど、皆笑顔だ。一緒に笑いながらシャッターを押しているのは俳優の塩谷瞬さん。

 

協力隊の活動する青少年センターで子供たちがジャンプする様子をカメラに撮る塩谷さん(左)と
撮った画像を確認するために子供たちと一緒にカメラをのぞきこむ塩谷さん(右)
(Photo By Shinichi Kuno, JICA)

 

 

 今年1月4日から1月11日まで俳優の塩谷瞬さんが東ティモールを訪問した。多くの課題を抱える開発途上国の実情を一人でも多くの方に知ってもらい、その解決を目指す国際協力の必要性を社会全体で共有しよう。そんな思いを共有する人や団体などで進める「なんとかしなきゃ!プロジェクト」の活動だ(http://nantokashinakya.jp/)。私はこの塩谷さんの東ティモール訪問に同行するため、昨年11月に離任した東ティモールを再訪した。

 

 東ティモールは人口106万人のうち55%が20歳未満、平均年齢が17.3歳と非常に子供の多い国だ。3年1ヶ月東ティモールで生活していたが、小学校や孤児院、青少年センターと子供たちの施設をこんなに沢山訪問したのは今回が初めて。どこの子も皆元気いっぱいで、私たちが訪問すると歓迎の歌や踊りを披露してくれる。ついつい同行の仕事も忘れて、一緒に輪になって歌って踊って、塩谷さんのカメラの前でジャンプを繰り返す子供たちとジャンプしている自分がいた。

 

タイベシ小学校の校庭で子供たちとサッカーを楽しむ塩谷さん(左)、
カメラの前で子供たちがジャンプ!(右)(Photo By Shinichi Kuno, JICA)

 

訪問したエルメラの村の子供たちと一緒にジャンプ!手前が塩谷さん、
奥の黒いTシャツが私(左)、孤児院で歓迎の歌とダンスを一緒に楽しむ塩谷さんと子供たち(右)
(Photo By Shinichi Kuno, JICA)

 

 

 塩谷さんの掛け声にジャンプするのは子供たちだけじゃない。首都ディリから車で海岸沿いを東へ1時間半。JICAが支援する「灌漑稲作プロジェクト」の対象地マナツトの農民のお父さんまでジャンプ。鉈(なた)を持って農作業していたお父さん。なんだか気難しい雰囲気でジャンプなんてしないかな、と思ったら、今度は塩谷さんと一緒にジャンプ!あれっ、お父さん、鉈を振り上げてるけど足は大地についたままだよ、と農民のお父さんのお茶目な姿に心が和む。

 

手に鉈を持って農作業していたお父さん(左)塩谷さんに一緒にジャンプ!(右)
(Photo By Shinichi Kuno, JICA)

 

 

 日曜日午後の海岸は泳いで遊ぶ子供たち、その姿を温かく見守る親たちの憩いの場。砂浜を歩きながら塩谷さんがカメラを向けると子供たちが寄ってくる寄ってくる。覚えたてのテトゥン語でイダ、ルア、トル、ジャンプと塩谷さんが合図すると子供はジャンプする。もう一回、もう一回と繰り返すうちにジャンプはもうめちゃくちゃ。でも疲れ知らずの子供たち。エネルギー尽きることなく塩谷さんの掛け声に何度も何度もジャンプする。そんな姿に、明日に向かって成長しようとする子供たち、将来に向けて発展しようとする東ティモールという国の姿を重ねて、頑張れ東ティモールと心の中でエールを送った。

 

海岸で塩谷さんの掛け声にジャンプする子供たち(Photo By Shinichi Kuno, JICA)

 

 

内川(JICA本部)

 

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