館員の見た東ティモール

 

開発へと進む東ティモール

 

 

 東ティモールに赴任して約1ヵ月半。

 生活には徐々に慣れてきましたが、東ティモールについてまだまだ知らないことが多く、学ぶことが多い日々です。

 先日、北原大使夫妻、現地スタッフと一緒に、日本の防衛大学校に留学中の男性国軍(F-FDTL)兵士2名の実家であるバウカウ県のご家族を訪問しました。

 双方のご家族は北原大使夫妻自らの訪問を大変喜び、歓待を受けました。

 大使夫人から、一時帰国をした際に2名の防衛大留学生を撮影した写真と息子のビデオメッセージがプレゼントされました。

 ご家族からは、「大使館から提供される写真やビデオメッセージを通じて、自分の息子の健康を目で確認することができ、心から嬉しく思い、感動しています。」という感謝の言葉がありました。

 当館の中嶋次席夫妻が一時帰国をした際に、防大を訪ね留学生の息子たちと一緒に撮った写真が額に入れて大切に飾ってありました。

 遠く離れた異国の地で一所懸命東ティモールのため、家族のため努力をする息子の雄姿を見つめるご家族。

 誇らしくも、でもちょっと寂しい、そんな表情を浮かべていました。

 横須賀に自宅のある当館早川夫妻とお子さんたちは、一時帰国の都度、留学生との交流を続けており、今では仲の良い友達になっています。

 みんなが留学生を応援しています。

 

 

 初めて東ティモールの地方を訪問した私。

 その私に対し、同行した現地スタッフから「地方には何もなかったでしょ。」と言われました。

 それに対し、私は「不在の存在こそが自分たちがここで何ができ、何をしなければいけないかについてのインスピレーションを得るきっかけになるんだ。そして私たち日本人が何を得て、その対価として何を失ったのかがより鮮明に浮かび上がってくる。」と答えました。

 開発の途上にある東ティモール。

 開発を通じ、国民を少しでも豊かにしようするこの国の指導者たちの熱い思いは、燦然と輝く太陽のように、この国の国民に降り注いでいます。

 ただ、その光が強力であればあるほど、その光が創出する影もまた大きくなっていくでしょう。

 

 

 平和の配分を共有しつつも、未だ開発の配分を共有する過程にある東ティモール。

 この国が今後より開発を通じ発展していくにつれ、その所得をいかにして国民に再配分していくかが大きな課題になると思います。

 さらに、開発により変化していく中で、いかにして自らのアイデンティティや独自性を維持していくことができるのか、それもまた大きな課題として東ティモールとその国民に圧し掛かるかもしれません。

 この国の開発と発展について、この国の皆さんと一緒にこれからもっと考えて行きたいと思います。

 

 

(諏訪)

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