東ティモール在住日本人の子育て事情
Diak ka lae? 突然ですがみなさん、東ティモールの平均年齢ってご存知ですか?
なんと、平均年齢は約16歳(2008年世銀)!(日本は約43.5歳(2005年国勢調査))。国も若けりゃ人々も若い、そんな国です。
私はJICAの駐在職員としてここ東ティモールに妻と1歳になる息子の3人で来ています。そこで、今日は普段あまり垣間見ることがない駐在員の子育て事情~乳児編~を、ティモール人の子育て事情を交えてお伝えしたいと思います。
その1 ~家族で過ごす時間~
これまで駐在してきて思ったことは、「ティモール人は家族の時間を大切にする」です。日本のように夜飲みに行ったり、仕事関係の会食に行ったりするティモール人は少なく、大半は仕事が終わればさっさと家に帰って家族との時間をすごしています。
その影響、というわけかは分かりませんが、我が家もすっかり家族で過ごす時間が増えました。職場まで10分という環境もあり、昼は我が家で食べ、夜も早く帰って家族一緒に食事ができる機会が増えました。
子供の食事の方ですが、日本のように便利な離乳食を売っているわけではない(どろどろのオートミールのような欧米製・インドネシア製の離乳食は売っている)ので、我が家は基本的に手作りです。手間はかかりますが安心です。
その2 ~おむつ事情~
ティモール人はもっぱら下半身素っ裸のまま、子供を育てます。トイレはどうしているのか?と聞いたところ、「そのあたりで適当にやってるよ」とのこと・・・。郷に入っては郷に従えとはいえ、さすがにこれは真似できません。うちはもっぱら紙おむつに頼っています。
こちらの紙おむつはインドネシア製のものからオーストラリア製のもの、果ては「日本製」と謳うものまでいくつかあります。ただ、いずれも弱点はサイドギャザーが伸びなくて、フィット感が低いことや素材がビニールのような素材で蒸れそうなことです。日本のオムツは大変ハイレベルなことを思い知らされました。幸い、若干仕様は異なるものの日本でもおなじみのブランドも売っていますので、我々はそれを使用しています。値段は日本と同じくらいです。
スーパーには意外な品揃え
その3 ~医療事情~
正直医療事情はまだまだ悪いです。東ティモールの平均寿命は62歳(2010年WHO世界保健統計)、これは5歳以下1000人あたり97人という高い死亡率 (2009年世界子供白書(UNICEF)、日本は4人)も影響しています。乳幼児死亡率が高い理由はやはり医療事情の悪さです。こちらの子供たちはとても元気に見えますが、彼らは既に数々の病気に打ち勝って抵抗力を付けた生存者なのです。東ティモールでも数年にわたって母子手帳を導入したり、Family Health PromoterやCommunity Health Worker育成のためNGOが頑張ったりしているおかげで徐々に状況は改善されていますが、まだまだ途上です。
我が家も、やはり医療事情が一番の心配です。家族全員、日本を出る前に必要なワクチンを打ってきましたが、ワクチンが無いマラリアやデング熱が一番怖い病気です。防蚊対策のため、我が家では毎晩蚊帳を吊って就寝することとしています。
その4 ~外出事情~
町に出て驚くのが家族全員でのバイク移動の光景です。お父さんが運転し、その後ろに子供をサンドイッチするように家族が乗っかっている光景や、お父さんの前に一人、後ろに一人乗せている光景をとても多く見かけます。ちょっと前まで車もバイクも数が少なかったのですが、最近の好景気で急速に車やバイクの数が増えています。交通事情はあまりよくないです。
我が家はもっぱら車での外出ですが、近所なら抱っこしてのお出かけも多いです。ベビーカーも持ってきたのですが、こちらの歩道は段差が多く、ベビーカーだと移動が大変なため殆ど出番がありません。とはいえ1歳児を抱っこして炎天下うろうろするのはとても疲れてしまいます。
週末など、時々お昼は外に食べに行きますが、外食時に欠かせないのが、写真のポータブルベビーチェアです。大抵のテーブルに装着可能で、我が家でとても重宝しています。ただ、外食時は蝿などの虫や埃に要注意。子供は何でも口に入れてしまいますので・・・
ポータブルベビーチェアで食事中
その5 ~ティモール人は子供好き~
ティモール人は子沢山です。女性の平均出産数は約7人(!)。ティモールの母は本当にたくましいです。小さな子をいつも抱っこして愛情一杯で育てています。
子沢山だから子供好きというわけではないかもしれませんが、ティモール人は男女問わず小さな子供をかわいがります。我が家はサービスアパートなのですが、アパートのスタッフや警備員がうちの息子を見かけると取り合いです。たまに外食してもウェイトレスのお姉さま方から引っ張りだこ。抱っこされるがまま、知らない間に店内や厨房を大冒険しているみたいです。
店員さんに大人気
生活環境は厳しいですが、わが子も真っ青な海と笑顔のティモール人に囲まれて、すくすく育ってくれることを願ってやみません。 Diak Loos!(元気いっぱい!)
ディリで迎えた満一歳の誕生日
奥村(JICA東ティモール事務所)
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