館員の見た東ティモール

 

東ティモールにおける政務的生活(その4)

 

【ようこそ、オロパナ・オーガニック・ゴルフ・コースへ】

 

首都ディリから南南西の方向に車を走らせると約2時間でレテフォホという山の尾根にある小さな町に到着します。標高1500mのこの町に私たちが到着した時、町の人々はミサに参加するために真っ白な教会へ向かっているところでした。すれ違う人々は笑顔で挨拶してくれます。爽やかな乾いた風が心地良く通りすぎていきます。その雰囲気に浸っている私の隣で、友人は南米の山村にそっくりだ!と興奮気味に叫んでいます。そこから尾根を辿ってゆっくりと車を走らせて行くと、少しずつ、なだらかな丘陵地が姿を見せ始めます。「ようこそ、オロパナ・ゴルフ・コースへ!」

 

 その2週間前、私が仕事で東ティモール外務省のカウンターパートを訪れていた時です。「この間話したゴルフ・コースで外交団ゴルフ・コンペを私と貴官共催でやってみませんか?」「あの時の話は本当だったのですか。当地で本当にゴルフができるんですか。」「できますとも。但し、オーガニックですけど。」私は前述の丘陵地が見えてくるまで正直言って半信半疑でした。件のカウンターパートは私の用件をさっさと済ませ、具体的に話を進めていきました。他の外交団へも案内を出したのですが、コンペ当日に参集したのは外務省関係者4名と当館館員3名だけでした。後で外交団へコンペの模様を伝えると、目を丸くして参加すれば良かったと後悔していました。

 

 コースへ到着すると、私たちは用意したお手製の旗を1番から順に突き刺してにわかにグリーンを決めて早速プレーを開始しました。勿論、カートもなければ、キャディーさんもいません。全て自分で完結します。標高1600mのため、汗もかかずに快適なプレーが楽しめます。あっという間にお昼です。丘の上にシートを敷いて、お互い持ち寄ったランチボックスと飲み物をシェアします。最高の景色を味わいながら舌鼓を打てば、当然ながら会話もだんだん弾んでいきます。にぎやかになるにつれ地元の子供達も集まってきます。食事を終えると、次はゴルフレッスンに入ります。コンペに参加した外務省関係者は実は皆さん初心者だったのです。一人一人に懇切丁寧なレッスンをして差し上げると、皆さんすぐ上達しました。周りの子供達もレッスンの様子を見てはしゃいでいます。打ったボールをみんなで回収して、最後に全員で記念撮影して帰路につきました。

 

 今回紹介しましたお話しは3年前の出来事です。当時の外務省関係者は、その後それぞれ在外勤務を果たし、今は再び外務省勤務になられています。しかし、会ってこの話になると決まって場が和やかな雰囲気につつまれます。東ティモールの人達とのこうした出会いは、心の中に財産のひとつとしていつまでも残っていくことでしょう。(続く)

 

(大橋)

 

 

 

 

 

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