私の見た東ティモール

 

 

「東ティモールでの学校生活」

 

 

 私は東ティモールでただ1人の日本人中学生です。
 首都ディリに滞在し、インターナショナルスクールに通っています。
 ディリには私の知っているかぎり4つのインターナショナルスクールがあります。DIS(オーストラリア系)、QSI(アメリカ系)、ポルトガル系の男子校とフィリピン系の学校があります。もちろんローカルの学校もあります。
 私の通っている学校は、DIS (Dili International School)です。

 

 DISは、2002年にオーストラリア人によって設立された比較的新しい学校です。場所はディリの中心から西側にはなれた場所にあります。当時の生徒はたった4人、先生は1人という状況だったそうです。しかし7年経った今は、生徒の数は約100人、先生とアシスタントの数は約30人にもなりました。
 DISでは4歳から高校までの教育が受けられます。しかし1学年あたりの人数が少ないので、何学年か合同のクラス編制になっています。クラスは全部で9つあり、それぞれ10人から20人の生徒がいます。そのほかに2歳からのプレイグループもあります。
 DISはオーストラリアのカリキュラムに従っているので、6歳から1年生になり、それまでは午前中だけ、日本の幼稚園のようなプレスクールというクラスで勉強します。たとえば私の妹達も同じDISに通っていて、9歳の妹は4年生、4歳の妹はプレスクールです。
 日本と違う所は、学年の数え方です。日本では、中学1年生というふうに言いますが、オーストラリアでは7年生と言います。私は2010年1月現在、13歳で9年生です。また、高校も同じで、高校1年生という所を10年生と言います。
 年度の始めも日本と違います。日本では4月から新年度ですが、DISでは1月から新年度が始まります。

 

 前学期(2009年度第4学期)、私は中学校のクラスに入っていて、8年生でした。
 先生はオーストラリア人で、2009年度の途中までは校長も兼ねていました。
 クラスの人数は12人で、7年生(中学1年)と8・9年生(中学2・3年生)の2グループに分けられていました。私達8・9年生は、本当は別のクラスに行くはずでしたが、英語がネイティブではないのでこのクラスに入れられました。その別のクラスでは、中学から高校の生徒達が通信教育で自習中心に勉強しているので、英語の力が足りないと勉強について行けません。そのため、私達はまず対面式の授業で英語の力をつけることを優先したのです。体育の授業では、私達8・9年生はその通信教育のクラスと一緒に授業を受けていました。
 私のクラスメイトは東ティモール人が5人で最も多く、他には、インドネシアと中国のハーフ、ジンバブエ人、ブラジル人、インド人、オーストラリア人、ボスニア・ヘルツェゴビナとトリニダード・トバゴのハーフの子がいました。

 

 私が習った教科は8つあります。英語、数学、理科、体育、音楽、ドラマ、図工、第二外国語です。
 英語では文法やつづりの他、エッセイの書き方を習いました。日本では作文の書き方は習いますが、論理的なエッセイの書き方はあまり習わないと思います。しかしDISでは、中学生の時にエッセイの書き方を学ぶので、びっくりしました。文献の引用の仕方や参考文献の書き方、エッセイの全体の構成、コツなどを習い、前学期には1,000単語以上のエッセイを仕上げました。
 数学は、日本とレベルが違います。同じ8年生用のワークでは簡単すぎるので、1学年上の9年生用のプリントをもらいました。けれどもやはり簡単でした。私はここで、日本の数学のレベルの高さを知りました。
 音楽では、色々な音楽や楽器の種類などを習った後、音楽に必要な要素(音量、強弱など)を習い、最終的には自分の好きな曲を決めてそれらの要素を分析しました。
 ドラマでは、毎回グループを作り、自分たちで寸劇を作って演じたりしました。
 図工では、日本では抽象芸術やポップなどの近代アートは習わなかったのに、DISでは絵の具を使ってそうした手法の絵を描きました。
 さらに教科以外の活動では、1・2年生が学校に慣れるために、私のクラスの生徒が図書室の使い方を教えたり、生活が楽しくなるキー・ポイントを一緒に勉強したりしました。
 また、DISには放課後のクラブのようなものがあるのですが、私はこの学校で一番ピアノが上手だというので、小さい子ども達にピアノの個人レッスンをする先生になりました。これは、小さな学校だからこそ出来た事で、とても良い経験になりました。
 そのほか、毎学期の最後に全校生徒と保護者が集まるアッセンブリーという催しがあります。そこではクラス毎に歌やダンスや劇、その学期の学習内容などを発表します。私のクラスは東ティモールの言葉であるテトゥン語の歌や、日本語の「上を向いて歩こう」を歌ったり、クラス全員で共同制作した絵の発表をしたりしました。

 

 学校での勉強の他にも、校外学習で、東ティモール独立前の苦難を展示した展覧会を見学したり、孤児院を訪問したりしました。
 また宿泊学習のようなものもあり、私達8・9年生と通信教育クラスの生徒は2009年11月5日から7日まで2泊3日、ディリの対岸にあるアタウロ島へスクールキャンプに行きました。キャンプでは、シュノーケリングをしたり、島内の村で活動するNGOを見学したり、アタウロで一番高い山、マヌココ山に登ったりと、楽しいキャンプ生活をしました。1つのNGOは敷地に日本の国旗が描かれた看板があり、日本に感謝すると書かれていたので、日本の援助を受けているのではないかと思います。また、マヌココ山は標高約1,000mの山ですが、ほとんど垂直に切り立った崖を登るなど、かなり大変でした。私は落ち葉が積もった坂を下っていた時、滑って転びそうになり、上級生や先生に助けてもらいました。
 宿泊先は、アタウロ島の伝統的なキャビンに5人で泊まりました。私のキャビンでは私以外は何故か全員東ティモール人で、テトゥン語が飛び交う中での生活でした。活動以外にも学べたのは、東ティモールのことです。まず、一緒に泊まった友達は全員同じ東ティモール人ですが、ある時、どんな地方語を知っているか、という話題になりました。すると、みんな同じ地方語を知っているのに1人だけ知らないなどという事がありました。私は、同じ東ティモール人でも、知っている言語は違うという事があるのだなと知りました。他にも、東ティモールの怪談話も教えてもらいました。その夜はちょうど赤い月が昇っていたのですが、東ティモールには、赤い月が昇った時に後ろを振り向くと人が死ぬ、という怪談話があるそうです。
 このキャンプでは、友達同士が協力することの大切さなどを沢山学べました。

 

 私がこの学校から学べる事は沢山あります。
 英語はもちろん、英語でのコミュニケーションのとり方、色々な国の沢山の風習など、勉強になることばかりです。日本と他の国々との違いや、同じ所などを発見できる事も多々あります。なにより、同年代の友達と沢山の会話ができ、色々な意見を聞けることが一番楽しいです。
 私はDISでもっとたくさんの事を学び、将来に生かしたいです。

 

永山(ディリ インターナショナル スクール 9年生)

Dili Trade ExpoでのJapan day のたこ焼き屋台に来てくれたDISの友達

夏休みに学校でピアノの練習をする妹と私

放課後のクラブ活動で、校庭でバレーボールをする妹達

スクールキャンプの初日、チャーターした漁船でアタウロ島(左に見える島)へ出発
アタウロ島で泊まったキャビン マヌココ山の切り立った崖を登る友達


 

 

 

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