このコラムの題名「館員が見た東ティモール」。
読者の皆様に東ティモールを知ってもらいたい、興味を持ってもらいたい、来てもらいたいとの気持ちから、館員ひとりひとりが肌で感じた東ティモールをつづっています。
このコラムをはじめてから半年が経ち、今さら「東ティモール」ってどこ?はないだろうとお思いかもしれませんが、私は東ティモールへ来る前までは知らない、興味がないひとりでした。
私は3年前にヨーロッパのある国から東ティモールに来ました。大使館員として恥ずかしい話ですが、上司より東ティモールへの転勤の話を聞いたとき(そのころは、アジアの島嶼国のひとつ程度の知識しかありませんでした)東ティモールってどこ?
東ティモール転勤の準備を始める。
パスポートを作ったり、飛行機のチケット手配ぐらいはできるけど、東ティモールに行くために何をしたらいいのかわからない。東ティモールの情報を何とか得ようと事務所の現地スタッフにも聞くが東ティモールの国名さえ知らない人ばかりでした。
そうだ!予防接種をしなければということで、いざ病院へ。
医者に「東ティモールへ行くので予防接種して下さい」とお願いしたら、その医者が地図を広げて東ティモールってどこ?
すったもんだしながらも出発準備が進み、私の後任も着任しました。
東ティモールへの出発が間近に迫ったある日、東ティモール大使館から、騒擾事件の影響で転勤日を変更してくださいと連絡が入りました。(騒擾事件については、本コラムの「東ティモールにおける政務的生活」にも掲載)。すぐに東ティモール大使館の私の前任になる人に連絡するがなかなか連絡がつかない。ようやく電話がつながって話を聞くと、「飛行場(ディリ空港)が閉鎖して、飛行機が飛んでいない。」とのこと。1週間もすれば飛行機は飛ぶようになるだろうとのことで、すぐに出発予定の飛行機をキャンセルして、1週間後の飛行機を予約することに。
それから数日後、今度は「今来ても泊まるホテルがない。営業しているホテルも治安部隊が押さえている(=宿泊している)。」とのこと。またも飛行機をキャンセル。出発が延期となるたびに不安も募ります。
東ティモールってどんなところ?
結局、東ティモールへ向けて出発したのは、当初予定から26日後でした。
何も知らず不安ばかりの東ティモール(ディリ空港)に到着。
そして、日本大使館へ向けて出発です。
途中、鉄橋を渡るのですが、外国人部隊が車輌で片側通行となるように道路を塞ぎ、1台1台車を止めて検査を行っている。平日しかも真昼にもかかわらず、道路を歩いている人を見かけない、営業している店も少ない。人が生活している気配のない家ばかりが目につく。
後日、前任者は私を連れてディリ市内を案内してくれた。ここでも道を歩いている人を殆ど見かけない。道路を走っている車は後部荷台に銃器を持った兵士が乗った車輌ばかり。開いている店が少ないとは聞いていたが、案内してもらった店は4軒だけだった。
東ティモールってこんなところ?
あれから3年、今の東ティモールは?
(次回コラムで紹介します。)
(諸橋)
(c) Embassy of Japan in Timor-Leste Avenida de Portugal, Pantai Kelapa, Dili, Timor-Leste (P.O. Box 175) Tel: +670-3323131 Fax: +670-3323130