私が2007年12月に当地ディリの日本大使館に来てから1年8ヶ月程になります。これまでの間、一番嬉しく感じているのは、当地の人々の日々の活動が活発になったと感じることです。それは、治安の回復・安定を裏付け、人々が平和を享受し始めたのだ、良かった!と思えるからです。
「目に見える変化」
着任以来、ディリの街中の変化として私の目に映ったものには、次のようなものがあります。
2006年の騒擾事件(「館員の見た東ティモール」欄の同僚による「東ティモールにおける政務的生活」をご覧下さい)で避難を余儀なくされた人々がテント生活を送る避難地があちこちにありました。その後人々の定住先への帰還が徐々に進み、今では、国内避難民キャンプは目にしないようになりました。
交通量が増えました。自動車は、当初は、平和維持活動を展開している国連関係の車が多く目につきました。今はそれに加え、自家用車が大変目立つようになりました。中古車を販売するお店も増えてきています。黄色に綺麗に再塗装したタクシーも、急に沢山出現しました。ガソリンスタンドも、私の行動半径内の一本の通りの3キロメートル位に限っても、2店から今では8店に増えています。オートバイも増え、1年半前には全く目にしなかった自転車に乗っている人もよく見かけるようになりました。
お店、食堂もこの半年くらいの間に、私の車で10~15分ほどの通勤路上だけでもそれぞれ数軒開店しました。2006年の事件で閉鎖したのが再開したものもあるようです。お店は、数日で建てられそうな間口の狭いものですが、米、水、小間物等当地の人々の生活必需品を商っていて、同様の食堂と共に、当地の人にとっては便利そうに思えます。
2007年6月の選挙で野に下り、新しく成立した連立政権は違憲だと訴えるフレテリンの旗があちこちに掲げられていましたが、今はあまり目立たなくなっています。
「治安、平和」
このような目に見える変化は、治安の回復、安定と関係しているのだと思います。
東ティモールは、外国との関係で長い間の苦難の歴史を経て、2002年に独立を果たしました。ところが、2006年に今度は国内の問題で騒擾事件が発生してしまい、以後、治安が悪化してしまいました。私が当地に着任した時は、治安は最悪期を脱し快方に向かってはいました。それでも、何処何処で今投石騒ぎが起きているから近づかないようにという類の助言メールが当地国連から携帯に、日に数回入って来ました。年が変わって、この助言の回数が減っていき、殆ど無くなって、これは良いことと思っていました。 その矢先、2008年2月11日、大統領と首相を襲撃する事件が発生してしまいました。折角此処まで来たのに、逆戻りすることになってしまうと大変落胆、心配しました。しかし、政府の対応、人々の対応により、非常事態宣言下でも、非常事態宣言が解除された5月以降も、懸念された治安状況の後退は全くありませんでした。そして、今日に至りました。
今、治安は安定しています。ただ、未だ、脆弱と言われています。引き続き、東ティモール政府、人々の努力、これに対する諸外国、国際機関の協力が必要とされています。これまで国内避難民のテントで埋め尽くされていた公園が綺麗に整備され、人々が憩いの場として利用しているのを見ると、微笑ましい思いになります。きっと、平和の貴重さを実感していることでしょう。私も、日本では当たり前の安全、平和の有り難さを改めて感じさせて貰っています。
東ティモールの人達が貴重な今を大切にして、安全な治安秩序、平和が当たり前となるような日が一日でも早く東ティモールの人達すべてに来ますように。
(木村)
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