館員の見た東ティモール

 

バザルテテ訪問

1.2月下旬、北原大使夫妻とリキサ県バザルテテ郡にある、聖心侍女訪問会の中村シスターの活動の地を訪れた。海岸通りにある国道から、山手に向かうバザルテテ郡道に入り、車で30分ほどかかる標高700メートルにあるコーヒーの林の中に修道院があった。途中は前日の大雨による倒木やがけ崩れもあり、4輪駆動車でやっと登れる道であったが、途中の見晴らしの良いところから見えるリキサの山と海の相重なる風景は素晴らしいものであった。

 

2.中村シスターは、東ティモール独立前から活動しており、その内容は、和解支援、教育、農業、地域開発と多岐にわたり、地域の総合的な開発支援に携わっている。修道院には、ポルトガル、インド、スペイン、フィリピン各国からの修道女がともに支援活動にかかわっている。

 

3.活動の一つである幼稚園は、2008年の修道院新築に伴い、同敷地内に開設された。現在4歳から7歳の99人の園児たちが元気に通園している。各国の支援を受け、遊具や教材も充実していた。地域の人々の協力もあり、修道女から裁縫トレーニングを受けた女性が、園児の制服を仕立て、安価で園児の保護者に提供したり、保護者が園児たちのおやつを提供したりして、地域全体で子供たちの育成に取り組んでいる。また、地域住民がボランティア教師として幼稚園教育のトレーニングを兼ねて活動しており、このようなボランティア教師が独立して、他の地域で幼稚園活動を開くなど、地域の中に活動が広がっていっている。

 

4.しかし、この幼稚園の園児は、本当に恵まれているケースで、東ティモール国の中でこのように充実した幼稚園教育を受けられる子供たちは、ほんの少ししかいない。また、この園児でさえ、卒園した後は教材も施設も十分でない小学校に就学し、不自由な中で学習しなければならないギャップがあるという。

 

5.子供たちの豊かな未来のためにも、初等教育が充実し、すべての子どもたちが平等に教育を受けられる、そのような東ティモールの社会づくりに、少しずつでも貢献していけたらと切に思った。

(相川)

 

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北原大使夫人より子供たちへ色えんぴつのプレゼント

 

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教師より説明を受ける北原大使。中央は中村シスター

 

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おやつの時間の前に手洗いをするために並んで待つ子どもたち。手洗いの習慣を身につけている。

 

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おやつの時間に牛乳が配られる。

普段牛乳を飲みなれない子供たちだが、幼稚園で少しずつ慣れて飲めるようになっており、彼らの成長を促している。

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