私の見た東ティモール

2週間のスタディツアーを終えて

 

 

 まぶしく、刺すような日差しを避けて、初めて見る木々の木陰で褐色の肌をした人たちがチェスをしたり、仲間達と話をしたりと、思い思いにゆっくりとした時間を過ごしていました。昼間は特に日射が強くなり、気温も上がります。空気は少し砂っぽく、乾燥しているため、まめに水分を摂取するよう心がける必要があります。

 

 路上では様々なものが販売されています。頭の上に小さな袋に入った細かく刻んだ柑橘系のくだものを売り歩く少女がいたり、ワゴンの上で様々な飲み物やお菓子、タバコなどを販売している人たちもいます。どの商品も輸入品だったと思います。携帯電話のプリペイドカードを販売する人たちも多く、街を歩いていて特に声をかけられたのは、この携帯電話のプリペイドカードの販売でした。そしてこれらの商品全てが米ドルで取引されていました。

 

海辺で魚をとる少年
小学校帰りの少年たち
くだものを売る少女

 

 初めて訪れた「東ティモール(Timor Leste)」は混乱した国ではなく、素朴な国でした。私は主に首都ディリに滞在していましたが、日中市街を歩く際は特に危険も感じず、気さくに声をかけられたりしました。渡航前は少しだけ治安に対する不安を感じていましたが、一旦足を踏み入れるとそんな不安は払拭され、そこに住む人たちは「好意的」で「人間らしい」人たちという印象を受けました。中には、じっとこちらを見る方もいましたが、それはお互い分からないもの同士の探り合いだったのかなと思います。

 

 私は現在、名古屋学院大学の国際センターという部署で海外留学等の支援を行っており、毎年250名近い学生を海外に派遣しています。今年度(2011年)、本学で初めて国際協力を専攻する学生を中心に東ティモールのスタディツアーを実施する事となりました。私はその引率者のひとりとして、18名の学生と2名の教員と共にこの国を訪れました。引率と言っても、私自身、東ティモールを訪れるのは初めてで、実際には新しく見聞し学ぶ事の方が多かったと思います。

 

 引率者という立場でしたので、滞在中は学生達がより良い経験をし、無事に帰国するという事を最優先に考え、常に彼らの健康面や生活面に配慮しながら過ごしていました。文頭にも記載しましたが、日中は気温も上がり、非常に乾燥しているので、気づかないうちに体力を消耗してしまう厳しい環境です。今回は移動も多く、整備されていない道路を長時間、強く揺れることもあり、体調を崩す学生もおりました。

 

建築現場のひとたち
参加者の集合写真

 

 参加した学生たちの感想を聞いていて驚いたのが、みな一様に東ティモールに対して「治安がよい」と感じていたことです。確かに、ここで滞在する中で危険を感じることは一切ありませんでした。それは様々な方のサポートの上でこのプログラムが成り立っているからであり、実際の所、滞在期間が短く現状が見えていないだけかもしれません。私にとっては、この国で今後学生たちの派遣を考えた場合、医療や交通の面で少し不安が残りました。ほんの少しのミスで大事故につながりそうな山道や、もしも事故が発生したときに受けられる医療の水準など、懸念要素があるのは事実です。しかしながら、このプログラムを通じ、学生達が多くを見て、聞き、経験し、それぞれが自分に出来る事を一所懸命考えて意見交換している様子を見ていると、総合的にこのプログラムに意義があると確信しています。そして彼(彼女)らが今後どのように東ティモールという国と関わっていくのかと考えると、楽しみでもあります。是非今後も多くの学生たちにこの国の素晴らしさを伝えていきたいと思います。

 

 

長瀬(名古屋学院大学国際センター職員)

 

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