私の見た東ティモール

暴力のない世界のために祈ろう

「子どものための祈りと行動の日」

 

 

2011年11月20日、「子どものための祈りと行動の日(英語名:Day of Prayer and Action for Children=DPAC)」を記念するイベントが、首都ディリにある大聖堂で開催されました。ラモス=ホルタ大統領やディリ司教、東ティモール政府、国連、NGOの代表のほか、500名以上の子どもたちが一堂に会し、東ティモールの子どもたちに対する“暴力をなくすための祈り”が捧げられました。

 

 

このイベントは、毎年「子どもの権利条約」が採択された日である11月20日に世界各地で行われるもので、様々な信仰を持つ人びとが協力し、子どもたちの幸福と権利の促進のため、礼拝や瞑想といった祈りの集いを催します。今年の世界的な祈りのテーマは「子どもに対する暴力の根絶」。東ティモールでも家庭や学校における子どもへの暴力は深刻であり、問題の解決が急務となっています。

 

イベント当日、初めに子どもたちのための特別なミサがディリ司教により執り行われました。荘厳な雰囲気の中、聖書の中から子どもに関する部分の朗読や聖歌隊による合唱に続き、この日のために作成された子どもの健やかな成長と幸福のための祈りが全員で唱えられると、会場が一体となり感動に包まれました。

 

 

ミサの終了後、「子どもたちに対する暴力がなくなりますように」という祈りを込め、大空に様々な色の風船が放たれました。

 

 

第二部は子どもたちが主役となり、劇や歌、ダンスなどが披露されました。中でも参加者の関心が高かったのは「肯定的なしつけ(positive disciplining)」を題材にしたドラマでした。東ティモールでは、しつけの一環として子どもたちを叩いたり、殴ったりという行為が日常的に行われています。ユニセフでは、暴力を使わない子育て方法の実践、いわゆる「肯定的なしつけ」を推進しており、若者グループと協力し、このドラマを通して、暴力が子どもに与える影響や子どもの気持ちに寄り添いながら主体性を育むことの重要性を訴えました。若者グループの演技は素晴らしく、子どもだけでなく親たちも真剣に見入っていたのが印象的でした。

 

 

今回、東ティモールで初めて開催されたこの祈りのイベントを通じ、多くの人が子どもに対する暴力について関心を持ち、暴力をなくすために行動を起こさなくてはいけないという強い意志を共有することができました。これからも、政府関係者や宗教者及び子どもの保護団体等と共に、子どもに対する暴力をなくすための活動に取り組んでいきたいと思います。

 

 

藤田昌子(ユニセフ 子どもの保護担当官)

写真は青年海外協力隊として活動されている矢加部さんにご協力いただきました。

 

(c) Embassy of Japan in Timor-Leste  Avenida de Portugal, Pantai Kelap

a, Dili, Timor-Leste (P.O. Box 175) Tel: +670-3323131 Fax: +670-3323130