広報文化

 

 

高遠中学校での東ティモールについての講演

 

 私は、在東ティモール日本国大使館で、広報文化業務を担当しておりますが、先日休暇で日本に帰国していた際に、長野県伊那市立高遠中学校にて東ティモールについて講演させていただく機会に恵まれました。今回はそのときの様子をご報告します。

 

 北原巖男駐東ティモール大使が長野県高遠町出身であることが縁で、2009年11月より高遠中学校と東ティモールとの交流が続いており、今回はそのような交流の一環として高遠中学校を訪問させていただきました。2009年11月には北原大使が高遠中学校で講演し、その際にはラモス=ホルタ大統領が高遠中学校の生徒さんたちにビデオメッセージを送りました。そして、2010年3月にラモス=ホルタ大統領が訪日した際には、高遠中学校の代表の生徒さんたちが東京で大統領に面会しています。また、2010年7月には15人の東ティモールの青少年たちが高遠中学校を訪問しました。

 

 私は、4月16日に高遠中学校を訪問させていただき、1年生と2年生の皆さんにお話をさせていただきました。東ティモールの位置や大きさ、人口、言語や独立までの歴史等、東ティモールの基本情報の紹介とともに、日本大使館でどんな仕事をしているかご紹介させていただきました。ドラえもんのアニメ映画の上映会や小学校での絵画展の実施等についてもお話させていただきました。東ティモールに対して親しみと興味を持ってもらえるよう、なるべくわかりやすく話すように心掛け、東ティモールの風景や人々の写真も紹介しました。また、3月11日に発生した東日本大震災の直後から、東ティモールの人たちが日本に対して温かな支援や思いを寄せてくれていることについてもお話させていただきました。震災翌日に外遊から帰国したグスマン首相が直ちに臨時閣議を招集し、日本へのお見舞いと支援を表明してくださったことや50万ドルの義捐金をいただいたことなどについてご紹介したところ、多くの生徒さんは東ティモールの人たちの温かさを感じ取ってくれたようです。さらに、私が日頃お世話になっている首相補佐官からいただいたメール(「日本のためにできることはこれくらいしかないですが、日本は東ティモールの開発パートナーであるだけでなく、親愛なる友人ですからできるだけのことをしたいのです」という内容)もご紹介しました。多くの生徒さんたちは、まだ支援を必要としている東ティモールが私たちに支援の手を差し伸べてくれたことに驚いたようです。

 

 講演の最後には、生徒さんたちから様々な質問が出ました。東ティモールの人たちの食生活や好きなスポーツ、名産品であるコーヒーや子供たちの生活等について多くの質問をいただきました。大統領と首相の権限の違いについて質問してくれた生徒さんもいました。高遠中学校では社会科の授業で東ティモールについて取り上げてくださっているそうですが、生徒さんから寄せられた質問から、皆さんの東ティモールへの関心の高さがうかがえました。

 そして、最後に生徒さんたちが「仰望」という高遠町の歌を歌ってくれました。高遠町のアルプスが目に浮かぶような透き通った美しい歌声でした。

 

 

 講演後に生徒さんたちが書いてくださった感想の一部をご紹介します。私が休暇から東ティモールに戻った後、高遠中学校でこのような講演をさせていただいたことと生徒さんたちからの感想について、シャナナ・グスマン首相にご報告させていただきました。グスマン首相は大変喜んでおられ、高遠中学校の生徒さんたちが東ティモールに高い関心を寄せてくれていることに感銘を受けていらっしゃいました。

 

 ○東ティモールはとても貧しい国であるのに、みなさんとても元気に過ごしていてすばらしいと思いました。とても小さな国ではありますが、東ティモールの人々の心はとても 大きなものだと思います。

 ○東ティモールの人々が苦しい中なのに、彼らよりも豊かであるはずの私たちに支援をしてくださったと聞いてとても感動しました。

 ○東ティモールのみなさんが笑顔でこっちも何かをもらえました。これからもたくさんの交流をしていきたいです。

 ○地震の際に5000万という大金を送ってくれたと知って、とてもうれしかったです。これからも東ティモールと交流を深めたいと改めて思いました。

 ○東ティモールの人々は心が温かく、そして心の強い人だと思いました。自分もサッカーが好きで、週3~5回練習をしています。いつか東ティモールの人とサッカーができれ ばと思います。

 ○東ティモールは私が5歳のときに独立したばかりの国でびっくりしました。貧しくても心がとても豊かですてきだと思いました。

 ○東ティモールは僕たち日本に比べればとても小さい国だけど、みんなが協力して助け合いながら生活しててすごいなぁーと思って僕たちも見習いたいと思いました。もっとも っと東ティモールのことを知りたいです。

 ○東ティモールはまだ「物」は豊かではないですが、「心」はとても豊かなんだと改めて思いました。

 ○東ティモールの人たちは辛い過去があるけれどしっかり生きているからすごいと思いました。ぜひ東ティモールに行ってみたいです。

 ○東ティモールが良い国になるように私たちも何か協力したいと思いました。

 ○パソコン等で事前に東ティモールについて調べてみましたが、調べてわかったことと今回の講演でわかったこととは違う感じがしました。東ティモールはアジアの仲間なの で助け合いたいです。今は東ティモールが日本を支援してくれているので、今度は日本が東ティモールの危機を救いたいと思いました。

 ○大人になったら東ティモールに行ってみたいです。ティモールコーヒーも飲んでみたいと思いました。

 ○僕はいつも違う国なんてどうでもいいやと思っていました。でも今回の講演を聞いて、違う国のことも考えなくちゃいけないと思いました。東ティモールは貧しい国の一つです が、とても笑顔がたくさんあると思います。だから僕も大人になったらボランティアとしてそっちに行きたいです。

 ○大統領の日本への心遣いとか日本のドラえもんの映画を子供たちに見せたら喜んでくれたというお話は私には嬉しかったです。東ティモールの人は優しいなと感じました。

 

【桜祭りの様子】

 高遠町は大変桜が有名で、今回は幸運なことに桜の時期に訪問させていただいたので、講演の翌日(土曜日)は桜祭りを見学させていただきました。高遠中学校のグラウンドがお花見に来るお客さんへの駐車場として開放されており、高遠中学校の生徒さんたちが全国から訪れる人々を温かく迎えていました。地元産品の販売とともに、生徒さんたちが東ティモールについてのパネルの展示や東ティモールの民芸品(「タイス」という伝統的織物で作った小物など)の紹介をしてくれていて、大変嬉しかったです。私たちも日本と東ティモールの交流がさらに深まるように努力していきたいと改めて感じました。

 

展示されていた東ティモールについてのパネル
生徒さん達による東ティモールのタイス製品の紹介

 

 

 

(了)

 

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