広報文化

 

 

東ティモール初のドラえもん映画上映会を実施しました!

 

 今年は東ティモールの独立を決めた1999年の住民直接投票から10周年という記念の年です。当館は、8月30日の住民投票10周年を記念して、8月にはJAPAN DAYという日本紹介イベントを実施しました。そして、11月28日は独立宣言日というもう一つの東ティモールにとって重要な記念日です。日本大使館は、11月28日の独立宣言日を東ティモールの皆さんと一緒に祝うために、子どもも大人も楽しめる行事として、ドラえもん映画「のび太の恐竜2006」の上映会を実施しました。

 

 11月27日と12月5日の2回、東ティモールの首相府(Palacio do Governoと呼ばれます)前の野外スクリーンでドラえもん映画を上映し、多くの東ティモールの皆さんが映画を楽しんでくれました。東ティモールにはまだ映画館が存在せず、日本のアニメもあまり知られていません。上映会には、多くの子供たちや家族連れ、若いカップルや友達グループなどが訪れ、大きなスクリーンに見入っていました。

 

 映画の上映の前には、北原大使がテトゥン語で、「ドラえもんのメッセージは一人では解決できないような問題も友達と力を合わせれば解決できるという友情の大切さであり、未来からきたドラえもんに象徴されるこのようなメッセージをこれから未来に向かうティモールの若い皆さんに伝えていきたい。ドラえもんの映画をきっかけに日本に親しみを持ってもらえれば嬉しい。」と挨拶しました。老若男女問わず愛されるドラえもんは、普遍的な価値観や平和的なメッセージを含んでおり、独立したばかりの若い国である東ティモールの皆さんにもそのようなメッセージが伝わったことと思います。

 

 今回の映画上映会は、東ティモールの皆さんにとって重要な独立宣言日を一緒にお祝いし、東ティモールの皆さんにアニメを通じて日本文化に親しんでもらうことが目的だったので、東ティモールの人々に楽しんでもらうことを第一として工夫を凝らしました。まず、上映会場については、一般の人々に親しまれている首相府前の広場を使うことにしました。この広場は、普段政府の行事や記念式典等に使用されているところなので、果たして外国の文化事業の目的での使用が認められるのか不安はありましたが、思い切ってチャレンジしてみることにしました。さらに、この映画上映会を日本大使館が単独で実施というのではなく、東ティモール政府にも共催者となってもらうことによって、ティモールの人たちを対象としていることをアピールしました。当国政府の中でも青年の健全育成のための事業を担当している青年・スポーツ担当国務長官オフィスが共催となりました。

 

 そして、これが一番この国で難しいところであるのですが、ドラえもん映画をなるべく多くの東ティモールの人々により理解して楽しんでもらうために、インドネシア語での上映とすることにしました。東ティモールでの公用語はテトゥン語とポルトガル語ですが、テトゥン語は現地語であり、未だ映画のテトゥン語版というのは日本映画に限らず存在していません。将来的にはテトゥン語吹き替え版や字幕版の映画ができることを願っていますが、テトゥン語ができる外国人が非常に少ないことと、ティモール人の中で外国の映画や本をテトゥン語に翻訳する能力を持っている人がいないため、現状ではテトゥン語版での上映は不可能です。そして、もう一つの公用語であるポルトガル語については、ポルトガル植民地時代に教育を受けた高齢者層とエリート層などのごく一部を除く人々はほとんど理解できません。そこで、公用語とはなっていないものの、実際にはほとんどの東ティモール人が理解するインドネシア語版でのドラえもん上映を追求しました。東ティモールを20年以上にわたって支配していたインドネシアの言葉を公の場で使用するのは政治的に難しい面がありますが、今回の場合は、映画上映会の趣旨が東ティモールの人々に楽しんでもらうこと、映画の内容をよりよく理解してもらうことであって、そのために最も有効な手段を用いたいということを政府側に説明し、理解を得ることができました。

 

 結果として、実際に東ティモールの人たちからはインドネシア語での上映でわかりやすくて良かったという多くの声がありました。当国での文化事業はまだ数少ないですが、旧宗主国のポルトガルや同じくポルトガルを公用語とするブラジル等が文化事業でポルトガル語の映画を上映することがあります。しかし、多くの東ティモールの人々にとってポルトガル語は現状ではあまり理解されていません。また、英語についても同様で、ごく一部しか理解できる人はいないのです。今回の映画上映会では、インドネシア語吹き替え版での上映という通常の大使館の映画事業からは異例のやり方で実施しましたが、結果的には多くの現地の人に映画を楽しんでもらい、その映画を通じて日本に親しみを持ってもらうことができ、成功だったと思います。これに関し、当国の事情と当館の希望に理解を示され、支援してくださった日本国内を含む関係の皆さんに本当に感謝しています。

 

 今回の上映会で映画を観賞した人たちに話を聞いてみると、動物を大切にする心が伝わって良かった、ドラえもんの映画は本当におもしろい、今後ももっといろんな映画の上映会をやってほしい、地方でも日本の映画を上映してほしい、等の感想、要望がありました。今後も東ティモールの人たちに喜んでもらえるような映画事業を首都ディリ、地方ともに実施していきたいと思います。

 

 

夕方から首相府前の広場で準備をしていると人が集まってきました

テトゥン語で書かれたドラえもん映画上映会のバナー

 

映画を鑑賞するお父さんと子どもたち

ピザを食べながら映画を楽しんでいる家族の皆さん

 

熱心にスクリーンを見つめる子どもたち

スクリーンの裏側からも大勢の人が見ていました

 

星空の下での映画鑑賞

誰もが入れる首相府前広場でみんなで ドラえもん映画を鑑賞する 楽しいひととき

 

 

 

 

(了)

 

 

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