PKOの現場から

 

ブーツ・オン・ザ・グラウンド

※ 軍事連絡要員としてバウカウ県バウカウに派遣されている建部(たてべ)1尉からリポートがありましたのでご紹介します。建部1尉は陸上自衛官ですが、PKO(国際平和維持活動)への協力のため、現在は国際平和協力隊にも所属しています。

 

 首都ディリの東約120kmに位置する東ティモール第二の都市、バウカウ。この地に国連の軍事連絡要員として赴任してまもなく1ヶ月になります。

 

バウカウ市内 通称ニュー(?)タウン

名物のビーチ「ワニに注意?」

 

 私の所属する軍事連絡チームの任務は、6名1チームでパトロールをしつつ、警察、国軍や地方自治体等から治安情報をはじめ東ティモール政府と国連の活動に有用な情報を収集して報告することです。特に、地方の住民や地元に根を下ろして活動しているNGOの方々からの情報は有益です。東側には陸続きの国境がない分、チームの担当地域が広く、国土の東半分に及びます。

 

 朝8時半、パトロールに出発。この日はティモール島中央の山脈地帯を超えて南側のビケケ県に向かいました。2時間かけて地方の村落を目指します。距離や交通状況(場所によっては道路が壊れていたりします)によっては、泊りがけのパトロールも珍しくありません。

 


英語で話しかけないで! 今カメラに応えてる余裕もない!!

 

あれ? 橋げたは?

ん? 路肩は?


 首都ディリでは国連の車は大して珍しくもないのであまり注目されませんが、地方に行くと子供たちが国連の車のまわりに集まってきます。学校の窓から、思春期の少年少女も気恥ずかしそうに見つめています。

 


国連車両に乗った迷彩服のオジサン達(平均年齢41.5)に興味津々

 

 目的地の村落に到着。やっとの思いで村長を見つけ、お話を伺うことに。備え付けのゲストブックを見ると、半年前に軍事連絡チームが来たときからほとんど他の来客がなかったみたいです。全くのノーアポ訪問ですが、快く「珍客」を迎えてくれました。

 


聞き取りの様子

 

 村長から聞き取る項目は、食料事情、流通している米の銘柄・値段、最近の災害の状況、携帯電話の電波状況といった項目まで多岐にわたります。治安は安定しているという回答が多い反面、雨季を控えた災害対策や、政府の施策や国連の支援が地方にどう反映されているのか、という情報も重要です。

 

 国連の機能はどうしても首都ディリに集中しがちなので、地方の山間部に足しげく通って政府の施策や国連の支援の効果を確かめる機会がなかなかありません。そこで、地方に拠点を置く軍事連絡要員のチームが国連の耳目となり、「秘境」と呼ぶにふさわしい山間部まで出かけて行って住民の関心事、心配事等を直接確認します。車でも徒歩でも、陸上自衛官としてのフットワークが少なからず役に立ちます。

 

 奇しくも各国の歩兵将校ばかりが集まったこのチーム。「ブーツ・オン・ザ・グラウンド」をモットーに、担当地域である東ティモール東半分の隅から隅まで足を運んで一つ一つ「秘境」を踏破していきたいと思います。

 


首席軍事連絡要員(右から2番目)と

バウカウ・チーム一同(左端は建部1尉)

 

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