東ティモールの農産物加工・流通業振興
9月30日,JICA農産物加工・流通業振興計画調査団が北原大使を表敬しました。
この調査団は,東ティモールで小規模な農民組織,起業家,仲買人・流通業者による農産物の加工・流通を促進しようとするものです。平成21年4月から平成23年11月までの2年8か月の予定で活動しており,(ア)農産物の加工・流通を支援する行政の体制整備,(イ)行政による農民組織や民間業者等へのサービス強化,(ウ)流通に関わる制度・基準や道路インフラなどの基盤整備,という目的のためにマスタープランを作ろうとしています。
東ティモールには県が13県ありますが,そのうち8県で,この調査団は以下のような5種類のパイロットプロジェクトを行っています。
1.既存農業協同組合の組織強化事業
2.大豆のバリューチェーン改善事業
3.女性グループによる家禽ビジネス支援事業
4.国産トウモロコシ消費多様化促進事業
5.国内産品の消費促進を目的とした料理教室
例えば,「2.大豆のバリューチェーン改善事業」では,大豆の生産者と大豆の加工業者の間の流通リンクを構築しようとしています。この事業の中で,「有機豆乳」といった新商品を開発したり,有機肥料作りの技術講習を実施しています。
東ティモールには,大豆をテンペ菌で発酵させた「テンペ」という食品があります。これはインドネシアから東ティモール一帯で広く食されている発酵食品で,味は納豆に似ていますが,糸は引きません。調査団は,このテンペを加工する技術やテンペ菌の自家増殖技術の定着といった努力もしています。
また,「4.国産トウモロコシ消費多様化促進事業」と「5.国内産品の消費促進を目的とした料理教室」については,地元でとれるトウモロコシ粉を使ったケーキ,クッキー,ドーナツなどを試作したり,また各県から募集したインストラクターを対象としたトウモロコシ粉などを使った料理教室を開いています。東ティモールでは小麦粉は全て輸入品なので,例えば,もしトウモロコシ粉を使ったパンを販売すれば,従来の小麦粉100%のパンと比べて2倍程度の利益が出ると見込まれています。
調査団の方々が北原大使を表敬された際,トウモロコシ粉を使ったパンやクッキーの試作品を持ってきてくれました。口に含むとパサパサした感じはありますが,今後東ティモールの方々がうまく改良して,農産物の地産地消,食糧自給率向上といった観点からトウモロコシ粉を使ったパン類が定着してくれればと願っています。
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