平成22年2月1日
インドネシア領西ティモール側に東ティモールの飛び地として位置するオエクシ県において活動を行っているNGOソレヌサ会(Foundacao Solenusat:以下FS)が、日本政府の支援を受けて行ってきた浄水システムの建設がこのほど終了し、1月27日(木)、インドネシアとの山間国境地帯にあるボボメト村の国境警察内敷地にて完成式典が催されました。本事業は、国境地域であるボボメト村において浄水システムを建設し、周辺地域のコミュニティ、国境市場、学校等に水供給を行うものでした。
式典には、北原巖男駐東ティモール日本大使夫妻、ジョルジュ・テメ・オエクシ担当国務長官、ドミンガス・カイロ公共事業担当国務長官、ケルカスパリ駐オイクシ・インドネシア総領事夫妻、周辺コミュニティの住民や子どもたち等100人以上が出席し、本事業の完成を盛大に祝いました。
オエクシ県は、本土から遠く離れていることから、本土と比較して大幅に発展が遅れています。水供給システム等基礎インフラ整備がなかなか進んでおらず、乾季にはオエクシ県の人々は、深刻な水不足に直面し、慢性的な貧困に苦しんでいます。
本案件が実施されたボボメト村はインドネシアとの国境付近に位置する地域であり、かつて水供給システムが存在していましたが、独立をめぐる混乱の中で水設備は民兵による破壊行為を受け、使用不可能となっていました。住民は川の水からしか生活用水を得ることが出来ず、水汲み労働を行う女性や子どもたちの大きな負担となっていました。水不足により農業生産性は落ち込み、また皮膚病や感染症に罹患する村人も多くいました。
そこで、このような状況を改善するため、日本政府はFSと共同し、「オエクシ県国境地域への浄水システム構築計画」に対して、草の根・人間の安全保障無償資金協力を通じて81,152米ドルをFSに供与しました。
この事業により、太陽光発電システムを動力として利用する新しい浄水システムが構築され、ボボメト村の5準村に住む約1万人に水が供給されます。これにより、住民の生活向上や農業生産性の向上、感染症等の予防に寄与することが期待されます。
また、この水は周辺コミュニティのみならず、当該地域にあるオエシロ中学校やインドネシアとの国境に建設され、経済交流活性化のため開設が待たれている国境市場にも供給されます。なおオエシロ中学校には、今後、女子生徒の健康を守り、女子の就学率向上を目的とした女子寮の改修工事も予定しています。
本式典で、テメ・オエクシ担当国務長官からは、オエクシ県は地理的特性が日本の沖縄と類似しており、観光で発展を遂げた沖縄の経験から学びたいとの発言がありました。オエクシ県では現在白檀公園の整備が行われており、国立公園への指定も検討されていることから、観光資源として期待されています。
2010年の国家優先課題には「道路と水」が第一の優先課題として挙げられているほど当国の基礎インフラはまだまだ未整備であり、喫緊の課題です。まさに「命の道路、命の水」と例えられるほど人の命に直結しています。中でもオエクシ県のように普段支援の手がなかなか届きにくい遠隔地にこそしっかりとした支援が出来るよう、当館は今後も草の根レベルの支援を続けていきます。
(了)
多くの村人が見守る中、歓迎の踊りを踊る地元の子供たち。
(左より、カエイロ公共事業担当国務長官、北原大使夫妻、駐オエクシ・インドネシア総領事夫人)本案件により建設された貯水施設。ここから、村、学校、国境市場等に水が供給されます。
テープカットの様子。
(左より、カエイロ国務長官、テメオエクシ担当国務長官、駐オエクシ・インドネシア総領事、北原大使)村人にお祝いのスピーチを行う北原大使
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