平成21年11月25日
東ティモールの首都ディリ市内にある医療施設モタエル診療所が、2009年2月より日本政府の支援を受けて行ってきたモタエル診療所の改修工事がこの程終了し、11月25日(木)(現地時間同日)、モタエル診療所において竣工式典が催されました。この事業は、地域の医療拠点として総合的な医療サービスを提供してきたモタエル診療所の改修工事を行うものでした。
式典には北原巌男駐東ティモール大使、塩川当館医務官、ダ・クルス県保健局長はじめ、その完成を心待ちにしていたネリーニョ・モタエル教会神父、サントス・モタエル診療所代表、地元住民の皆さんや子どもたちが出席し、喜びを分かち合いました。
モタエル診療所は、診療所の横に併設されているモタエル教会によって建てられた東ティモールにおける最初の病院です。この歴史のある病院で働く職員たちは、内科・外科・小児科・産婦人科等、総合的な医療サービスを地域の住民のために長年提供してきており、東ティモールの国民から非常に高い信頼を得ています。現在当診療所は一日約100人、年間約2万人の患者を受け入れており、総合的な医療サービスを受けられる医療施設が少ない当国においては、国立病院に次いで二番目の規模を持つ病院となっています。
しかし、その病棟は建設当時、工事に必要な費用のすべてを賄うことが出来なかったため、病棟の屋根が設置されずコンクリートの基礎が剥き出しのまま放置されていました。建設から20年余りが経過した最近では、剥き出しのコンクリートが腐食して、雨季に大量の雨水が建物に浸み込み、病院全体が水浸しとなる事態が発生していました。漏水により一部診察室が使用不可能となったり、職員が排水作業に追われる等、円滑な医療サービスの提供に著しく支障が出ていました。さらに、このような状況下ではカビや細菌が発生するため、劣悪な衛生環境下で患者に医療を提供せざるを得ないことが、非常に大きな問題となっていました。
そこで、このような状況を改善するために、日本政府は草の根・人間の安全保障無償資金協力を通じて71,923米ドルの支援をモタエル診療所に行いました。
この事業では、モタエル診療所の屋根に頑丈な屋根が取り付けられました。さらに感染症の予防と院内の通気性を高めるために、窓の改修と網戸の設置が行われました。
これにより、衛生的かつ過ごしやすい病院内で、年間約2万人の患者が適切な医療サービスを受けられるようになります。ひいては、東ティモールの医療状況の改善や死亡率の低下に寄与することも期待されます。
当日、式典参加者からは日本政府へ大きな感謝の気持ちが述べられました。日本の支援で新しくなったこの診療所では、これからも多くの患者さんが受け入れられ、職員たちの絶え間ない努力によって助けられていくことでしょう。
本格的な開発の段階に入り、着実に発展を進める東ティモール。しかし、保健医療サービスはまだまだ不足しており、当該分野への支援は極めて重要です。東ティモールの国民が適切な医療を受けられるよう、当館は今後も草の根レベルの支援を続けていきます。
(了)
①日々献身的に地域医療等に努めているサントス・モタエル診療所代表(左)及び地元の子どもたち
②改修着手から完成に至るまでの喜びを語る北原大使(中央)
③診療所内部の視察の様子。
(左から)ダ・クルス県保健局長、北原大使、サントス・モタエル診療所代表
④日本の支援によって修復された窓と網戸
⑤日本の支援によって取り付けられた診療所の屋根
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