東ティモールで活動する国際NGOヘルス・アライアンス・インターナショナル(以下HAI)が、2007年から日本政府の支援を受けてアイナロ県及びマヌファヒ県で建設を行ってきた各助産保健施設が完成し、10月15日(木)及び16日(金)、両県において記念式典が執り行われました。この事業は、当国で保健所の役割を果たしているコミュニティ・ヘルス・センターの脇に、母子保健推進のため助産施設を建設するものです。アイナロ県では1棟、マヌファヒ県では2棟の助産保健施設が完成しました。
北原巖男駐東ティモール大使、塩川当館医務官を始め、アンジャパリゼ世界保健機構(WHO)東ティモール事務所長や当国保健省関係者らが出席し、真新しい助産施設の完成を祝いました。
東ティモールは女性一人当たり平均7.7人を出産するという世界一出生率が高い国です。さらに出産に伴う妊婦死亡率が0.66%、1歳未満の乳児死亡率が8.8%と非常に高い(注)深刻な問題を抱えています。これは、出産を行える施設の絶対数不足と施設までの交通手段が非常に限られていること、医療設備のない自宅で家族により取り上げられるという伝統的慣習が未だ根強いことが原因であると言われています。そのため、医療機関へのアクセスが限られる地方に居住する妊産婦に対して、適切な出産環境を整備し、コミュニティレベルできめの細かい医療サービスを提供することは大変重要です。
そこで、このような環境を改善するために日本政府はHAIと共同し、「アイナロ県及びマヌファヒ県における助産保健施設建設計画」に対して、草の根・人間の安全保障無償資金協力を通じて41,741米ドルをHAIに供与しました。
本事業では、助産施設の建設のみならず、電力供給時間が限られる当国の事情を鑑み、太陽光発電設備や、適切な衛生環境を整えるため水供給システムも建設されました。さらに、妊産婦の要望に応え妊婦だけでなく妊婦の家族が付き添えるための待機室や伝統的分娩台も取り付けられています。
これにより、地方に居住する妊産婦の出産環境が大幅に改善され、当該地域の妊産婦死亡率及び乳幼児死亡率の減少に寄与することが期待されます。さらに、当該助産施設はコミュニティ・ヘルス・センターに併設して建設されているため、センターと連携して包括的な医療サービスを住民に提供することが可能となります。
当日公開された施設内には、既に各月ごとの出産予定表と出産予定の妊婦の名札が貼られていました。これらの施設で赤ちゃんの元気な産声が近いうちに響き渡ることでしょう。
新たな国づくりに向け着実に発展を進める東ティモール、その未来を担う子どもたちが健やかに、そしてのびのびと育っていけるよう、当館は引き続き草の根レベルの支援を続けていきます。
(注)出典:2007年アジア開発銀行『東ティモール経済社会開発報告書』
①マヌファヒ県の助産施設の開所にあたり、テープカットを行う北原大使(右)②式典に同席した看護婦たち
③助産施設の引き渡しに署名する北原大使(左)④完成したアイナロ県の助産施設の外観
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