現地NGO Ahisaun Foundationが、2008年9月から日本政府及びニュージーランド、オーストラリア等他のドナー国の支援を受け、首都ディリ市内に建設してきた、障がいを持つ若者たちが自立するための施設が完成しました。コンピューター等の技能研修や居住スペース(寮)の提供を行うものです。わが国は居住スペース(寮)の建設を支援しました。10月8日(木)の完成式典には北原巖男駐東ティモール大使、デ・デウス社会支援・自然災害担当国務長官、マリオ・カルドソAhisaun Foundation代表、ニュージーランド大使やオーストラリア大使夫人等が出席し、施設で居住しながら学んでいる障がいを持つ若者たちや地元の住民らから大きな歓迎を受けました。
現在国づくりの過程にある東ティモールでは、当国政府によって障がい者等社会的弱者に対する支援が進められています。しかし、彼らに関する実態把握及び支援はまだまだ十分とは言えません。さらに社会的な認知も進んでいないことから、障がい者の皆さんの就学及び就業率は低く、社会参加の機会が非常に限られているのが現状です。
それだけに、障がいを持つ多くの人々が、社会参加の機会を促進する活動への参加、そのための施設への入居を強く希望しています。
2000年から障がい者向け共同生活支援及び研修の提供を行っている現地NGO Ahisaun Foundationの施設では、これまで9名の障がいを持つ若者たちが自立に向けた訓練を受けつつ共同生活を行ってきました。しかし、建物は障がい者の皆さんが居住するように配慮されて設計されたものではなく、また居住スペース等も非常に小さかったことから、生活に困難をきたしていました。当施設に入居を希望する多くの人々を受け入れることは出来ませんでした。
そこで日本政府は、「障がいを持つ若者のための共同生活施設建設計画」を作り、草の根・人間の安全保障無償資金協力として88,383USドルを現地NGO Ahisaun Foundationに供与しました。
本事業により、障がいを持つ若者たちは、これまで9名しか入居出来ませんでしたが、男女28名が共同生活を行うことが可能となりました。また当施設は、周辺住民の皆さんに様々な職業訓練及び教育プログラムを有償で提供しており、今後は約200名の受講者の受け入れを予定しています。この新たな施設で自立に向けた技術を身につけた若者たちが、その技術を生かして同施設内で周辺住民の皆さんに対する職業訓練の講師を務めることはもとより、就学・就業等社会参加への機会をより多く得られることが期待されます。障がいを持つ人もそうでない人も共に助け合い、協働しながらの社会参加への後押しになればと思います。
障がいを持つ若者たちが、自立に向けた技術を身につけることによって、社会参加の機会が促進されます。本格的な開発の段階に入った東ティモールにとって、より平等な社会の実現を目指す上で極めて重要なことだと思います。
当館は今後とも、ともすれば開発の手が届きにくい分野へ光を当て、支援を続けていきます。
両足に障がいを持つ少年から歓迎の言葉を受ける北原大使(左から二人目、腰を下ろして聞いている)。中央はニュージーランド大使、右側はAhisaun創始者のオラ神父。会場に集まった多くの人々が施設の完成を祝福しました。
大使スピーチ。
後ろに見えるのは、日本が支援した障がいを持つ若者たちのための居住スペース(寮)音楽が大好きな施設の若者たちの歌に刺激され、飛び入りで彼らと一緒に地元の歌を歌う大使。
右はデ・デウス社会支援・自然災害担当国務長官。左はオラ神父。
(c) Embassy of Japan in Timor-Leste Avenida de Portugal, Pantai Kelapa, Dili, Timor-Leste (P.O. Box 175) Tel: +670-3323131 Fax: +670-3323130