私の見た東ティモール

未来に向けて

 

 Ba Futuru―私が青年海外協力隊として所属しているNGOの組織名です。英語で表わすと「For the Future」、日本語で言えば「未来に向けて」、とでもいうのでしょうか・・・。このBa Futuruが位置するコモロという地区は、東ティモールの首都ディリの中でも、比較的治安の悪い地域です。しかし、あえてそんな場所にオフィスを構えるのも、理にかなっています。というのは、Ba Futuruは、「東ティモール人が、自分自身のために、より良い未来を確実に創っていけるよう支援することで、不信感や暴力を平和へと変えていく」ために設立されたからです。それが、「Ba Futuru」という名前に込められています。そんなNGOで、私はJICAボランティアとして、いくつかの活動をすることができました。

 

 スタッフ数名とコミュニティーに赴き、紛争解決や人権、非暴力などについてプレゼンテーションをしたり、Ba Futuruに通う生徒に、スイミングや日本語を教えたりしました。また、バスケットボールのシュートの仕方を教えたり、パスの練習や試合をしたりしました。さらに、作物を売ることにより収入を得るために、野菜づくりもしました。小学校低学年や未就学の子供たちとは、ボール遊びをしたり、絵をかいたり、スケートボーディングやバドミントンなどをしたりしました。

 

 特に、この子供たちは、私を見かけるといつでも、遠くに離れていても、「カネタ」、「カネタ」と呼び、近寄ってきます(ポルトガル語の「caneta」、テトゥン語の「kaneta」は、どちらも「ペン」を意味します)。彼らは、常に元気いっぱいなので、こちらが元気がなくても、体調が悪くても、機嫌が悪くてもお構いなしでやってきます。たまに度も越えますが、それもご愛嬌です。気づくと、私も本気で走り回っています。

 

 実は私、協力隊の活動をしていく中で、自分の活動やODA事業は、本当に役に立っているのかと思うことがありました。しかし、先日の日本で起きた大震災のとき、「70以上もの国と地域が、日本の支援に参加している」とBBCのニュースで耳にしました。その中には、ODAの援助対象国であるインドやパキスタン、スリランカなども入っていました。相手からの見返りやこちらの利益などを考えずに、真剣に相手国のことを考え、まじめに活動に取り組んでいると、日本が窮地に立ったときに助けに来てくれるものだと確信しました。また、東ティモール政府も$500,000の寄付を行ったそうです。日本政府や日本国民との強いつながりを示すためだそうです。

 

 日本は平和だし、私たちは、欲しいものをほとんど何でもすぐ手に入れることができる。そういう環境をすべて自分たちで築きあげてきた。そう錯覚し、ある意味驕っているかもしれませんが、実は、日本もいろんな国とつながり、いろんな国に支えられているんだなと思いました。任務終了間近になって、改めて国際協力の意義を考えさせられました。「未来に向けて」私自身も成長をさせてもらった6か月間でした。

 

 

やんちゃで元気な子供たち
東ティモールも応援しています

 

 

 

金田(青年海外協力隊員)

 

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