「青年海外協力隊として東ティモールで活動しています。職種は青少年活動です」
2010年4月中旬から東ティモールの首都ディリで活動を開始して、もう4ヶ月近くになります。こちらに来る前は(勿論、こちらでもですが)「青年海外協力隊?青少年活動?東ティモール?実際、どんな場所で、どんなことをしているの?」と尋ねられることが多くありました。せっかくなので、隊員の活動を紹介しながら私の見ている東ティモールについて書ければと思います。
現在、東ティモールでは私を含め2名の隊員が活動をしていて、Ba Futuru(公用語のテトゥン語で“未来のために/For the future”)というローカルNGOに所属しています。Ba Futuruでは4歳の幼児から 20歳代までの青少年を対象に、ダンス、ドラマ、アートなどの創作活動の支援を通じた平和・人権教育を実施しています。また、日本大使館の草の根無償資金で建設されたオフィスに隣接してユースセンターがあり、常時100人弱の青少年に上記の創作活動とともに英語、ポルトガル語、人権教育などの講座を提供しています。私は主にユースセンターでの活動をしていて、具体的には、子ども向けのドラマクラス、もう1人の隊員とともに週2回の日本語教室の担当をしています。他には団体の広報やファンドレイジングなど、できることはなんでも!といった感じでしょうか。
東ティモールで日本語クラス?と思われた方もいるかもしれません。実は、私たちも当初は日本語クラスを提供する気は、(内緒ですが…)全くありませんでした。残念ながら、この国での日本語の需要はまだ少ないのが現状ですし、英語・ポルトガル語など他の言語の人気が高いです。しかし、こちらに派遣されてからしばらく経つと、センターの利用者から「日本語クラスはいつあるの?」「日本語勉強したいんだけど」という意外なニーズがあり、開催する運びになりました。実際にクラスを開講すると、隊員が来てから日本に関心を持った人、過去に日本人と交流を持っていた人など、沢山の生徒が集まってくれました。
とはいえ、隊員にとって日本語を教えるのは初めての経験。生徒にとっても日常生活で全く耳にしない未知の言語。全くの手探りから始まりました。まず、どの言語で教えるかということ。英語で教えようにも、生徒の英語力にばらつきがありますし、そもそも英語というティモール人にとって外国語を使用して、更に日本語を教えることは困難です。幸いにも、隊員の1人が公用語のテトゥン語に堪能なため、クラスはテトゥン語で教えることになりました。 また、教材を入手することも難しく、ひらがな表、ひらがなカードなど、手作り教材を駆使して授業を進めています。せっかく彼らにとってマイナー?言語である日本語を学んでくれるのだから、生徒が積極的に関われる内容にしたい!というのが目標です。授業中は、隊員の寸劇(むしろショートコント?)で説明を試みたり、数字やひらがなのゲーム、日本語の歌の歌詞の意味を勉強して合唱など、工夫を心がけています。
そんなクラスも開講してから2ヶ月が経ちました。授業登録者数と実際に出席している生徒数に開きがあるのは悲しい事実ですが、継続的に参加してくれる生徒たちはやはり熱心です。呑 み込みのすごく早い人。理解に時間はかかるけど、しっかり自習してくる人。周りの生徒のフォローのできるしっかり者。クラスを盛り上げてくれるお調子者。正直、勉強は苦手だけど毎回の授業に遅刻せず来てくれる人。個々人のキャラクターも段々と把握してきました。全体的な印象として、黒板に書いた内容をノートにまとめるのが苦手だったりゲームに慣れてなかったりということはありますが、それぞれ自分のペースといい意味でも悪い意味でも関心の赴くままに勉強しています。
日本語教室を通じて、東ティモールの青少年たちと深く関われるようになったと実感しています。ちょっと今日は体調悪いな…という日でも、授業中に生徒たちとコミュニケーションをとると元気になれる自分がいます。
こちらに来た日本人旅行者が、道端で片言の日本語で話しかけられる。そんな光景を想像しながら、今日もみんなで日本語の勉強をしています。
藤長(青年海外協力隊)
【大使館より】
藤長さんはじめ2名の皆さんは、東ティモールに派遣された初代の青年海外協力隊員です。輝いていますね。
日本語教室の様子。ロールプレイをしています 日本語教室の様子。熱心な生徒たち
日本語教室に先駆けて、
日本フェスティバルを開催しました。
お箸ゲームをしている写真です。
(c) Embassy of Japan in Timor-Leste Avenida de Portugal, Pantai Kelapa, Dili, Timor-Leste (P.O. Box 175) Tel: +670-3323131 Fax: +670-3323130